ハローワークに雇用保険(失業保険)の申請に行くと、要件を満たせば、失業保険をもらえるようになりますが、合わせて求職活動をすることになります。就職の意思がない人は、そもそも失業保険の受給者にはなりません。
求職活動ですが、ハローワークやその他各種情報源(ネット、新聞、転職エージェント情報など)の求人を見て、自分に合った会社なり就職先に応募することになります。そこで、うまく再就職が決まるならば、それはめでたいことです。
一方、現状の自分のスキルでは就職先を見つけるのは難しいと考えたり、今までとは違う分野で働きたい、などと思った場合は、職業訓練を経て新たなスキルを獲得することも考えられます。
その際に、ハローワークで紹介してもらえる職業訓練制度なり職業訓練校があります。職業訓練制度とは、経済産業省が実施している教育訓練給付金制度(一般教育訓練、特別教育訓練、専門実践教育訓練)があります。それ以外に、大学・専門学校に通う方法もあります。自費で通うか奨学金を得て通うなども考えられます。さらには、ボランティアに参加し、スキルを獲得し、就職に結びつける方法もあります。今回は、職業訓練制度と職業訓練校について見ていきます。
職業訓練校は、ハローワークの職業訓練校の窓口に行くと、パンフレットをもらうことができ、自分の学びたいコースを申し込むことができます。基本的に授業料は無料かテキスト代程度です。オンライン講座もあります。介護や育児や居住地の近くに訓練校がないなど事情がある人はオンライン講座を受講することができます。
職業訓練校の受講期間は3か月位のものから中には1年以上、2年に及ぶものもあります。ハローワークから申請して試験に合格すれば通うことができます。通常は朝から夕方(午後3時くらいに終わるものが多い)までの時間が多く、時間帯的には普通に高校や大学に通ったのと同じ感じです。出席は厳しく8割以上は出ていないと修了認定されないようです。また、無断欠席なども許されないようです。失業中の生活リズムを整えるのも目的の一つのようです。交通費の補助も出ますし、何より授業料は無料ですし、受講期間中は失業手当が継続して出ますから、文句のいいようのない待遇です。一度受講すると、終了後3年間は受講ができないようです。
職業訓練校を卒業しても必ずしも再就職がかなうわけではないですが、スキルアップはしているので受講前よりは再就職の可能性は格段に上がっているとは思います。但し、受講期間中は、職歴としては無職となり、実務経験は空白期間になるので、再就職の面談の際には、その点を十分に考慮して対応する必要があります。単なる失業中ではなく、新たなスキルを身に付けたことや、国の制度の基準に基づいて受講し、生活面でもきちんと過ごしていることなどをアピール・主張するとよいでしょう。
入学試験ですが、各学校により異なりますが、おおよそは、一般教養(漢字読み書き、場合によって英語など、に加えいわゆる一般教養)と学ぶ分野に対する試験や作文と、あとは面接などの構成が多いようです。レベル的には中学卒業程度とのことです。合格したら入学日の前日にハローワークに行って通学を申請し、失業給付の延長なり、受講期間中の求職活動の不要などの手続きをします。受講に際しては、失業手当の支給日が支給日数の1/3を残した日より前から受講しなければならないルールもあります。
一方で、教育訓練制度は、失業に関係なく受講できる制度で、失業者は失業給付の支給延長になり、在職中の場合は、求職教育訓練補助金が支給されます。また、受講費用に対する補助もあります。教育訓練給付金制度では、一般教育訓練の場合は受講料の20%、専門実践教育訓練は受講料の50%で、教育終了後1年以内に再就職の場合は、追加20%還付され、受講費用の70%が返ってくることになります。失業保険は、受講期間中は延長します。受講に関して、ハローワークでJobカードを作成し、指定のカウンセラーとの面談があり、その上で、受講可否の判断をされます。この結果を受講する学校に伝達し、教育訓練制度として受講する旨を申告します。後に出席簿や修了試験結果や修了証明書などを発行してもらう必要があります。
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